今年のゴールデン・ウイークは、シドニー、カウラ、キャンベラ、メルボルンと駆け足ながら、オーストラリア東部の中国人社会(華僑・華人、中国人)の一端を垣間見て来た。英国誌のエコノミストによれば、人口2300万人のオーストラリアの4.6%に当たる105万人の中国人が正式に永住権を得たとのことだ。4.6%を人口1億2000万人強の日本に当てはめると、2010年時点の北海道か兵庫県の人口に当たる550万人を超える。

 つまり、現時点で中国からオーストラリアへの移住者を日本に置き換えれば、計算上は北海道か兵庫県全体が中国からの移住者で埋め尽くされたのと同じことになる。これに不法滞在者が加わるのだから、その“存在感”は尋常ではない。シドニー空港へ着いた途端、それを思い知らされた。

 

主流は広東出身者

 先ず、空港内の表示は英語の隣に中国語が加えられている。もちろん他の言語による説明はない。次いで空港ロビー内に置かれたシドニーの公式ガイドブック。これにも驚いた。中国語を日本語に訳すと一般に文字数は1.5倍から2倍近くに膨らむものだが、シドニーのガイドブックは逆だ。日本語のそれが58頁であるのに対し、中国語は2倍強で130頁を超える。ほぼ同じような体裁ながら、日本語では簡単な紹介で済ませてある高級ブランド店情報が、中国語の方には満載されている。これでシドニーの観光産業がチャイナ・マネーを狙っていることは判る。だが、チャイナ・マネーが群がるのは高級ブランド店ではなく、じつは不動産だった。

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