豪州紀行(1)オーストラリア不動産市場を席巻する「チャイナ・マネー」

執筆者:樋泉克夫 2014年6月11日
エリア: アジア オセアニア

 今年のゴールデン・ウイークは、シドニー、カウラ、キャンベラ、メルボルンと駆け足ながら、オーストラリア東部の中国人社会(華僑・華人、中国人)の一端を垣間見て来た。英国誌のエコノミストによれば、人口2300万人のオーストラリアの4.6%に当たる105万人の中国人が正式に永住権を得たとのことだ。4.6%を人口1億2000万人強の日本に当てはめると、2010年時点の北海道か兵庫県の人口に当たる550万人を超える。

 つまり、現時点で中国からオーストラリアへの移住者を日本に置き換えれば、計算上は北海道か兵庫県全体が中国からの移住者で埋め尽くされたのと同じことになる。これに不法滞在者が加わるのだから、その“存在感”は尋常ではない。シドニー空港へ着いた途端、それを思い知らされた。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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