政府は7月1日に臨時閣議を開催し、従来の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することを決定した。その内容は戦後の日本の安全保障政策を大転換するものだと言っていい。この結論には自民党内部からさえ異論が噴出した。だが、安倍晋三首相はもともと「戦後レジーム(戦後体制)からの脱却」を掲げてきた。国際標準に合わない日本の戦後の安全保障体制を変更するという結論は、安倍首相が率いる自民党としては当然の帰結だった。

 

「実質合意」を全面否定

 7月1日、与党党首会談を終え、報道各社の質問に答える自民党の高村正彦副総裁(中央左)と公明党の北側一雄副代表(同右)(C)時事
7月1日、与党党首会談を終え、報道各社の質問に答える自民党の高村正彦副総裁(中央左)と公明党の北側一雄副代表(同右)(C)時事

 しかし、「平和の党」を前面に掲げてきた公明党はそういうわけにはいかない。閣議決定後も支持母体である創価学会内部には批判的な声がくすぶっている。決定からさかのぼって6月25日、一部のマスコミが、自公両党は集団的自衛権の行使を容認することで「実質合意」したと報じた。この時の公明党幹部のあわてぶりが創価学会および公明党内部の世論を如実に物語っている。

 この日、衆院議員会館で開かれた公明党外交安全保障調査会と憲法調査会の合同会議の冒頭、集団的自衛権問題に関する自民党との交渉窓口役だった北側一雄副代表はいきなり弁解を始めた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。