欧米はもちろん、中国、東南アジアとも大きく異なるインド市場。出遅れてきた日本は、今、真の「海外展開力」を問われている。 インドは現在、第十次五カ年計画の後半にある。独立以来、長らく社会主義の国だっただけに、今でも政府が計画を立てているのだ。 だが、五カ年計画は決して経済自由化以前の遺物ではない。毎年組まれる政府予算とともに、政府・政権が国内外に向けて発するマニフェスト的な存在となっている。 五カ年計画のうち経済分野の策定を担当するのが計画委員会だ。委員長を首相が務めることからもわかるとおり、その影響力は大きく、企業で言えば経営企画部門に相当する。 計画委員会の首席顧問であるプロナブ・セン氏は、第八次からの五カ年計画に携わってきたエコノミスト。現在は二〇〇七―一二年をカバーする第十一次計画についての戦略立案を担当している。 言葉を選びながらも明快かつ直截に語るセン首席顧問にニューデリーの執務室で、インド経済の今とこれから、日本や中国への評価、そして日本企業の取るべき道について尋ねた。中国経済は脅威ではない――インド経済は拡大を続けています。現状と今後をどう見ていますか。セン 経済指標はどれも素晴らしい。成長の背景にあるのは年率二〇%以上伸びてきた輸出で、世界全体の貿易がこれまでと同様に年六―八%のペースで拡大していく限り、インド経済も引き続き成長を続けるでしょう。

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