集団的自衛権をめぐる議論の影響かもしれないが、最近、日本で環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Partnership: TPP)が話題に上ることが少なくなっているように見受けられる。しかし、この問題に関して、米国では、ワシントンD.C. のごく一部の人たちが話題にしているという程度であるが、日本では賛成・反対双方の立場から多くの議論がなされてきたといえる。

 筆者は、日米協会ダラス・フォートワース支部(Japan-America Society of Dallas / Fort Worth: JASDFW)の主催で、今年2月11日に「アベノミクス、TPPとテキサスの経済的機会」(Abenomics , the Trans-Pacific Partnership, and Economic Opportunities for Texas)をテーマにシンポジウムを企画運営した。TPP 交渉の米国側の窓口であるウェンディ・カトラー米国通商代表部代表補と、日本でTPP 推進の立場から活発に発言をしている経済学者の木村福成氏(慶應義塾大学教授)という日米の論客を招聘して、TPP に関する本格的な議論の場をもった。前回(「『宿題』をしない米国―TPP の政治経済学」http://www.fsight.jp/27902)は米国におけるTPP の政治経済学を論じたが、今回はJASDFW のシンポジウムをもとに、日本におけるTPP の政治経済学を論じてみたい。

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