タイのプミポン国王(七八)が六月九日、即位六十周年を迎えた。現役の君主では世界最長の在位で、天皇、皇后両陛下をはじめ、世界二十五カ国の王族、皇族が式典に集った。 プミポン国王は現チャクリー王朝八代の兄が急死した一九四六年、十八歳で即位。土地改良、少数民族支援、麻薬畑の畑作転換など、農業を重視した数々の「王室プロジェクト」を推進。また伝統と現代社会の調和を図り、政治危機にあっては民主主義に沿った解決の道を示し、国の求心力となってきた。 こうした国王に対する人々の敬愛の念は深く、即位六十周年の日には、炎天下にもかかわらず宮殿前広場を五十万人以上の市民が埋め尽くした。 現在、君主を戴く国はタイを含め世界に二十九カ国。タイ政府は二十八カ国の王室、皇室に招待状を出し、日本を含め二十五カ国が参列した(欠席はサウジアラビア、ネパール、サモア)。元首クラスでは、日本の天皇、皇后両陛下をはじめ、スウェーデンのグスタフ国王夫妻、ルクセンブルクのアンリ大公、ヨルダンのアブドラ国王、トンガのツポウ国王、スワジランドのムスワティ国王、レソトのレツィエ国王など十二カ国。残る十三カ国は王族が代理出席した。 プミポン国王に祝意を伝える「慶祝の儀」、チャオプラヤ川での王室御座船パレードなどの行事のなかで、十三日、新装なった王宮で、四百人を招いての大晩餐会が頂点を画した。

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