饗宴外交の舞台裏 (103)

各国の皇族・王族が祝ったタイ国王即位60周年

執筆者:西川恵 2006年8月号
エリア: アジア

 タイのプミポン国王(七八)が六月九日、即位六十周年を迎えた。現役の君主では世界最長の在位で、天皇、皇后両陛下をはじめ、世界二十五カ国の王族、皇族が式典に集った。 プミポン国王は現チャクリー王朝八代の兄が急死した一九四六年、十八歳で即位。土地改良、少数民族支援、麻薬畑の畑作転換など、農業を重視した数々の「王室プロジェクト」を推進。また伝統と現代社会の調和を図り、政治危機にあっては民主主義に沿った解決の道を示し、国の求心力となってきた。 こうした国王に対する人々の敬愛の念は深く、即位六十周年の日には、炎天下にもかかわらず宮殿前広場を五十万人以上の市民が埋め尽くした。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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