情報筋で流れたテポドン撃墜説の検証

執筆者:春名幹男2006年9月号

「北朝鮮のテポドン2号は発射失敗ではなく、本当は米国のミサイル防衛で撃ち落とされた」 七月五日北朝鮮がミサイルを連続発射した直後、一部情報関係者の間でそんな噂が流れた。 五月中旬に「北朝鮮がテポドン2号発射準備」と伝えられて以降、米国防総省や各情報機関の動きは急を告げた。 六月二十三日にはハワイ沖で、米海軍イージス巡洋艦シャイローや海上自衛隊イージス護衛艦「きりしま」が参加して海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の迎撃実験に成功した。 同日の記者会見で、オベリング米国防総省ミサイル防衛局長は「地上配備の迎撃ミサイルはテポドン2号を迎撃できるか」と聞かれ、「私は強く確信している」と断言。さらに、ラムズフェルド国防長官は、ブッシュ大統領はテポドン2号迎撃指令を出すか、との質問に対し「それは状況次第だ」と答えた。 ブッシュ大統領自身も、ミサイル連続発射後に、「迎撃には合理的な可能性がある」と述べた。 テポドン2号に対して、米本土防衛のため、アラスカ州フォートグリーリーに九基、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地に二基ある地上配備迎撃ミサイル(GBI)が「試験稼働状態」から「実戦稼働状態」に切り替えられ、発射に備えた。

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