その”剛腕”に注目が集まっている (C)時事
その”剛腕”に注目が集まっている (C)時事

 東京電力の会長にJFEホールディングス相談役の數土文夫(73)が就任してまもなく5カ月。「東電改革の成否が日本経済の浮沈を左右する」と就任前日3月31日の記者会見で危機感あふれた覚悟を語った通り、數土は事実上破綻した国内最大の電力会社の経営に容赦なくメスを入れている。初仕事で霞が関の監督官庁に大きな影響力を及ぼしていた企画部を廃止。同時に、同部出身のエリートで、福島第1原子力発電所事故当時の会長である勝俣恒久(74)の側近といわれた常務執行役の村松衛(59)を日本原子力発電副社長に転出させた。さらにその後も、全国規模の電力小売り参入、火力発電分野での包括提携企業選定など、政府が進める電力システム改革を先取りする施策を次々に打ち出している。逆に、トップが「原発再稼働」を唱えるだけの大手電力他社は、改革のスピードで遅れをとり、巨額赤字に苦しむだけに、先行きに差す暗い影は一段とその大きさを増している。

 

「『數土東電』という時限爆弾」

『エネルギーフォーラム』という月刊誌をご存じだろうか。1955年1月に『電力新報』の名称で創刊され、80年に現名称に改題した。公称4万部(2006年時点)で「我が国のエネルギー問題に関する唯一最高の権威ある総合誌」との看板を掲げ、記事内容の充実を図るため、「5大新聞(朝日、毎日、読売、日経、産経)各社の論説委員に全面的な協力を得る」としている。とはいえ、読者層が電力やガス・石油会社、関係官庁・団体などの幹部層が中心のため、編集の視点は専ら企業側、官庁側にあり、内容は業界紙に近い。

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