東電「數土会長」が仕掛ける「エネルギー業界地図」大激震

執筆者:安西巧 2014年8月26日
タグ: 韓国 日本 原発
エリア: アジア
 その”剛腕”に注目が集まっている (C)時事
その”剛腕”に注目が集まっている (C)時事

 東京電力の会長にJFEホールディングス相談役の數土文夫(73)が就任してまもなく5カ月。「東電改革の成否が日本経済の浮沈を左右する」と就任前日3月31日の記者会見で危機感あふれた覚悟を語った通り、數土は事実上破綻した国内最大の電力会社の経営に容赦なくメスを入れている。初仕事で霞が関の監督官庁に大きな影響力を及ぼしていた企画部を廃止。同時に、同部出身のエリートで、福島第1原子力発電所事故当時の会長である勝俣恒久(74)の側近といわれた常務執行役の村松衛(59)を日本原子力発電副社長に転出させた。さらにその後も、全国規模の電力小売り参入、火力発電分野での包括提携企業選定など、政府が進める電力システム改革を先取りする施策を次々に打ち出している。逆に、トップが「原発再稼働」を唱えるだけの大手電力他社は、改革のスピードで遅れをとり、巨額赤字に苦しむだけに、先行きに差す暗い影は一段とその大きさを増している。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f