「性」で財を成した中国人富豪が誇る世界一のボルドー・コレクション         (C)2012 Lion Rock Films Pty Limited
「性」で財を成した中国人富豪が誇る世界一のボルドー・コレクション         (C)2012 Lion Rock Films Pty Limited

 同じようにフランスを代表するワインであるものの、ブルゴーニュとボルドーは、大いに異なるイメージを与えてきた。

 繊細で女性的な性格を持つブルゴーニュは、一般的に小規模の畑で、職人的な技によってつくられてきた。「ブルゴーニュは旅をしない」と言われる通り、長期間の輸送に向かず、フランス国内で主に消費された。デリケート、通好みで閉鎖的。村の名前や作り手の名称が複雑に入り組んでおり、分類するのが難しい「フランス人がつくるフランス人のためのワイン」だった。

 ボルドーは、大西洋に面した地理的特性により、古くから英国に運ばれて評価を受けた。パワフルで、わかりやすくて、開放的。「シャトー」と呼ばれるワイナリーごとの評価も安定し、素人でもよしあしが判断できる。グローバル化に適した特性を備えていたと言える。だからこそ、その愛好者も英国人から米国人、さらには日本人へと、国境を越えて広がった。

 ここ10年ほど、ボルドーの最大の顧客は中国である。中国人のブランド志向を反映して、5大シャトーと言われる「ラフィット・ロートシルト」「ラトゥール」「マルゴー」「オー・ブリオン」「ムートン・ロートシルト」がもてはやされる。フランスの現地にも、中国から訪問者が殺到するようになった。

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