「日本で介護福祉士の国家試験に合格すれば、米国で就労ビザが取れる」

 経済連携協定(EPA)に基づき来日し、日本で働くフィリピン人介護士たちの間で今、そんな噂が流れている。

 介護福祉士の資格を取れば、彼らは日本で無期限に働くことができる。だが、国家試験に合格しても、日本を離れて他の国で働こうと考える外国人介護士もいる。事実、前回の連載(9月9日「『介護士・看護師の受け入れ』はなぜ失敗したのか」)でも触れたように、国家試験に合格しても母国へ帰国する人材は相次いでいる。「米国で就労ビザが取れる」という噂は根拠に乏しいが、こうした噂が流れるのも日本での仕事に魅力がない証である。

 

「現代の奴隷労働」

 日本政府は依然、EPAによる介護士らの受け入れを「人手不足の解消策」とは認めていない。しかし一方で、介護現場の人手不足を日本人だけで乗り切れるとも考えていないようだ。そこで打ち出しているのが、「外国人技能実習制度」を使っての外国人介護士の受け入れである。実習制度で認められた68職種に「介護」を加え、介護現場に外国人を入れようというのだ。

 同じ外国人介護士の受け入れでも、EPAと実習制度では大きな違いがある。EPAの場合、国家試験合格を条件に長期就労が可能になるが、実習制度は最長でも3年(近く5年に変更予定)しか就業が許されない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。