「人手不足」と外国人(3)日本を去る「日系ブラジル人」たちの言い分
2014年10月6日
景気の回復と人手不足が伝えられるというのに、日本を去っていく日系ブラジル人が後を絶たない。2007年には約32万人に上った日本在住のブラジル国籍者の数は、昨年末で約18万人にまで減った。
1990年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正以降、就労目的で来日する日系ブラジル人は増え続けていた。「出稼ぎ」はやがて「移民」へと変わり、日本社会へ定着するかに思われた。しかし08年に「リーマン・ショック」が起きると、ブラジルへの逆流が始まった。そして現在まで、その流れが止まる気配はない。
人手不足は様々な職種で深刻化している。多くの日系ブラジル人が働く製造業もその1つだ。仕事はあるはずなのに、なぜ彼らは日本を離れていくのか。
私はリーマン・ショック直後から、日系ブラジル人が多く暮らす岐阜県美濃加茂市を定期的に取材してきた。最近では昨年初め、本サイトにも寄稿した(2013年1月29日「日系ブラジル人の『帰国ラッシュ』と人口減社会」)。前回の取材から2年近くが経つが、日系ブラジル人たちの暮らしはどうなっているのか。再び美濃加茂を訪れてみた。
「日本はシゴトばっかり」
美濃加茂の中心部にあるJR「美濃太田駅」。駅から南に延びる1本道の両側には商店が軒を連ねる。しかし、昼間でも歩く人はまばらで、シャッターを下ろしたままの店も少なくない。日系3世の佐藤サダユキさん(33歳)が数カ月前まで経営していたピザ屋も、そんな店の1つである。
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