盧武鉉“失効”でも消えない反米・親北の流れ

執筆者:黒田勝弘2006年10月号

目も当てられない低支持率に、メディアの攻撃が追い打ちをかける。だがそれでも保守の政権奪還は容易ではない。[ソウル発]韓国の盧武鉉政権はまだ任期が一年半も残っているのに、レームダック化(権力衰退)がささやかれている(二〇〇七年十二月次期大統領選、〇八年退任)。後に大統領官邸当局は「そんなことは言っていない」と弁明していたが、大統領自身がマスコミ論説委員とのオフレコ懇談会で「政府機関の責任者たちが自分の言うことを聞かない」とか「自分の任期は事実上終わった」などと、レームダックを自認するようなことをしゃべっていたと伝えられている。 韓国では歴代大統領とも政権末期には共通現象があらわれる。大統領の家族・親戚の金銭やポストをめぐる権力型スキャンダルが暴露され、レームダック化が加速されたのだ。そして最後はボロボロの支持率で退場というシーンが繰り返されてきた。 これは盧武鉉政権と同じく“民主化経歴”が売り物だった金泳三政権(一九九三―九八年)、金大中政権(九八―二〇〇三年)もそうだった。いずれの大統領も政権末期には息子まで金銭スキャンダルなどで逮捕されている。 そこで「盧武鉉政権もか?」と思わせたのが、最近、韓国社会を揺るがせている賭博ゲーム機「海物語(パダイヤギ)」をめぐるスキャンダルだ。韓国社会で急激に広がったこのゲーム機の許認可や換金用の商品券発行などをめぐって権力型不正の臭いがするとして、マスコミが一斉に書きたて始めたのだ。

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