政府は人手不足の解消を目指し、来年度から「外国人技能実習制度」(実習制度)を拡充する方針だ。外国人実習生の就労期限を一部の職種で3年から5年へと延長し、受け入れ可能の職種に「介護」などが加えられる可能性が高い。そうなれば、昨年末現在で約15万5000人の実習生が大幅に増えることになるだろう。

 実習制度は1993年、「外国人研修・技能実習制度」として導入された。20年前の当時も、中小企業の工場や建設現場などで人手不足が深刻化していた。だが、単純労働者の入国は許されていない。そこで抜け道として、発展途上国の若者が日本で仕事を「実習」するという建前で制度がつくられたのだった。

 

「現代の奴隷制度」

 実習生の数はバブル崩壊後も増え続け、2000年代後半には16万人に上った。その後、リーマンショックの影響で10万人にまで落ち込んだが、近年は再び増加が続く。そして制度導入から20年余を経て、政府は実習制度の枠を広げようとしている。

 その陰で、職場から失踪する実習生が急増していることはあまり知られていない。実習制度を統括する公益財団法人「国際研修協力機構」(JITCO)の調べでは、2012年度の失踪者は前年から4割近く増えて1532人に、13年度はその倍近い2822人に上った。その後、さらに増えている可能性は高い。しかも、この数字はJITCOに報告されたケースに過ぎず、来日1年目の実習生も含まれていない。

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