キリンビールが流通業界の猛反発にあっている。缶チューハイ「氷結」など低アルコール飲料の取引制度を来年一月に変更すると取引業者に通知、これに卸売業界が大反対しているのだ。 キリンの狙いは、過度に安売りされている缶チューハイの価格是正。メーカー希望小売価格は百四十円(三百五十ミリリットル缶)だが、実際には百円程度で売られている。特売では二缶百円という例もあるため、「これではジュースより安い。未成年者の飲酒防止のためにも価格是正が必要」(同社首脳)と強い決意を見せている。価格是正の内容は、メーカー希望小売価格を廃止し、卸と小売りがメーカー出荷価格にコストを上乗せして価格を決めるオープン価格制に移行するというもの。同時に卸には販売量に応じて支払うリベートを廃止し、小売業者には販売協力金を削減する実質値上げ。 実は、全ビールメーカーは昨年、一斉にビール類で同様の価格是正を実行した。ところが、大手量販店が拒否。結果、卸は大手量販店には身銭を切って従来方式で卸しているため、その二の舞になると反対。また、ビール価格是正には協力した酒販店も大手量販店に客を取られるだけ、と猛反対。他のメーカーはキリンに追随しない方針のため、ビール類で五年ぶりの首位奪還を目指すキリンは思わぬところで足をすくわれかねない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。