厳しさを増す米カリフォルニア州と連邦政府の排ガス規制。だが、準備怠りない日本の自動車メーカーには独り勝ちの懸念すら――。 九月下旬、本田技研工業は次世代技術を公開した。新型燃料電池車や一〇〇%までのエタノール混合燃料に対応できるフレキシブル・フューエル・ビークル、燃費を向上させたガソリンエンジン車も公開されたが、目玉は新世代ディーゼルエンジンだった。新開発の触媒で、NOx(窒素酸化物)排出量をガソリン車並みのレベルにまで低減したディーゼル車だ。ホンダはそのディーゼル車を三年以内に発売すると強調したが、それは二〇〇九年から始まる米国の排出ガス規制の、特にカリフォルニア州の排ガス規制の「クリア宣言」でもあった。 いうまでもなく、先進国では車の排出ガス規制が年々厳しくなっている。が、日米欧の間では排ガス規制の対象が微妙に違う。ヨーロッパでは地球温暖化の元凶とされるCO2(二酸化炭素)の排出規制だが、日本と米国はNOx削減が中心になっている。だが、その米国でもカリフォルニア州は独特。連邦政府を上回る厳しい排ガス規制を敷いている。たとえば、同州の大気資源局が定めた〇四年の規制では、〇九年モデル車は温室効果ガスの排出量を二五%削減しなければならず、一六年型車では三四%削減を義務付けている。そればかりではない。ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)法を制定し、〇八年までに州内でゼロ排ガス車を総計二百五十台販売させ、〇九年から一一年には各自動車メーカーにその十倍をゼロ排ガス車にすることまで義務付けているのである。ゼロ排ガス車とは、電気自動車か燃料電池車ということになる。

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