九月二十六日の安倍晋三内閣発足直後に行なわれた報道各社の世論調査で、安倍内閣は軒並み六〇%台後半から七〇%台の高支持率を記録。戦後最年少・五十二歳の若き宰相は順調なスタートを切った。 就任直後の電撃的な中国・韓国歴訪、十月二十二日の衆議院統一補欠選挙に完勝し民主党を腰砕け状態に追い込む。小泉純一郎前首相が八〇%前後の驚異的な支持率を就任から半年以上保ったのと同様、「安倍人気も当面は盤石」という見立てだった。にもかかわらず――。十一月中旬以降、安倍内閣の支持率は下がり始めた。 十一月二十四―二十六日実施の日本経済新聞調査で五九%(内閣発足直後と比べ十二ポイント減)、同二十五、二十六日の毎日新聞調査で五三%(同十四ポイント減)、十二月五、六日の共同通信調査で四八・六%(同十六・四ポイント減)。 日に日に夕暮れが早くなる秋の釣瓶落としを思わせる急降下。最大の下げ要因が郵政造反組の自民党復党問題にあることは明白だった。 復党問題がなぜそこまで響いたのか。直近の調査から浮かび上がってくるのは「無党派層の安倍離れ」、もう一歩踏み込んで言えば、小泉シンパの、後継者に対する幻滅である。 特徴的なのは、大幅な内閣支持率の低下に比べ、自民党支持率がさほど落ちていないことだ。安倍内閣発足直後の自民党支持率は四九・二%。これは小泉内閣時代のいずれの調査よりも高い数字だった。伝統的な保守層が「右の本格派」の登場を好感し、自民党に戻ってきたことを意味していた。この傾向は十二月の調査でも基本的に変わらず、自民党支持率は四・六ポイント減の四四・六%にとどまっている。つまり十六ポイントを超える内閣支持率低下は、おもに自民党支持層以外で安倍内閣支持を表明していた人たちの心変わりからだった。その中心は支持政党がない有権者、前首相が「宝の山」と呼んだ、いわゆる無党派層だ。

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