「真のODA改革」はこれから始まる

執筆者:野嶋剛2007年2月号

“身内”への援助だけ増額する財務省は論外としても、日本の援助コミュニティのどこにもODA哲学がない。いまこそ統一理念を打ち立てよ。  政府開発援助(ODA)にかかわる人々の間でいま、「二〇〇八年問題」が関心の的になっている。  〇八年は日本のODAにとって重要な日程が目白押しだからだ。春から夏にかけて、第四回アフリカ開発会議(TICAD)が日本で開かれ、主要国首脳会議(サミット)も議長国として日本開催となる。そしてその年の十月には国際協力銀行(JBIC)の解体を受け、新生国際協力機構(JICA)が正式に発足する。  世界の援助の焦点であるアフリカから多数の元首・首脳クラスが来日するTICAD。貧困削減が主要テーマの一つになるであろうサミット。ともに日本の援助姿勢が問われることは確実だ。新JICAの資金量は一兆円を超える。単一の援助機関としては世界でも最大級の規模で、まさに日本ODAの「顔」となる。日本輸出入銀行と海外経済協力基金との合併後の不仲でつまずいたJBICの二の舞は許されない。  援助関係者らは「〇八年をODA改革の転換点に」と意気込む。ところが、カウントダウンに例えれば、「ラスト1」となる今年は強い逆風の中での船出となった。

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