韓国「国防白書」から見た北朝鮮の軍事力

執筆者:平井久志2015年1月15日

 韓国政府は1月6日に「2014年国防白書」を発表した。韓国政府は李明博(イ・ミョンバク)政権末期の2012年12月に「2012年国防白書」を発表しているが、朴槿恵(パク・クネ)政権になって初めての国防白書である。

 

核弾頭小型化は「相当な水準」

 金正恩(キム・ジョンウン)政権は2013年3月の党中央委員会3月総会で経済建設と核開発の「並進路線」を決定した。こうした状況を受けて、白書は、北朝鮮が核兵器の材料となる「プルトニウムを約40キロ保有していると推定され、高濃縮ウラニウム計画を進行中」とした。核兵器の弾頭小型化については、2012年には言及しなかったが。今回は「小型化能力も相当な水準に達しているとみられる」とした。

 韓国政府は北朝鮮を「核保有国」とは認めていないために、核兵器の保有数などについては言及せず、核兵器の原料について言及しながらも、核弾頭の小型化が「相当な水準」に達しているとみられるとの判断を下した。

 2010年に北朝鮮の寧辺でウラン濃縮のための遠心分離器の施設を北朝鮮当局から見せられた米国の科学者、ジークフリード・ヘッカー・スタンフォード大学国際安全保障協力センター(CISAC)専任研究員は1月7日に米科学者会報に寄稿した文章で、北朝鮮の保有する核弾頭数は12個と推定した。同研究員はこのうち6個はプルトニウムを原料とし、残り6個はウラン濃縮でつくった高濃度ウラニウムを原料にしているとした。

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