米国とキューバの国交正常化交渉。米国際開発局(USAID)の請負会社の仕事をしていた米国人男性、アラン・グロス氏(65)がキューバで釈放され、帰国したのを受けて、両国首脳が同時に、正式に発表した。グロス氏は2009年にキューバに衛星通信機器を持ち込んでスパイ罪で逮捕され、懲役15年の禁錮刑を受け、服役していた。

 この外交劇。米国で捕まった3人のキューバスパイとキューバで拘束されていた1人の米側スパイの交換で成立したもので、グロスさんはその中に含まれず、「人道的釈放」だった、と米側は説明している。日本のメディアは発表通りに報じたが、そもそも米政府機関が下請け会社を使ってそんな仕事をキューバで行うこと自体、極めて不自然だ。

 カストロ兄弟らによるキューバ革命以来、米国は「葉巻に毒薬をしみこませる」「貝殻に爆薬を仕込む」といった方法でフィデル・カストロ前国家評議会議長を暗殺する工作のほか、各種の政権打倒工作まで、多くの秘密工作を展開してきた。マイアミに設置した米中央情報局(CIA)の前線本部には一時「800人を超える工作員を配置していた」と元CIA高官は教えてくれた。実は、冷戦終結後も、米国はひそかに「民主化工作」などを続けていたのだ。

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