突然、インターネット上の映像に黒ずくめの姿で現れたイスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーとみられる男。安倍晋三首相に対して言い放った。

「『イスラム国』と戦うために2億ドルを支払うというばかげた決定をした」

 その2億ドル(約236億円)をわれわれに払わなければ人質の日本人2人を殺害する、というのだ。

 これに対して、安倍首相は、2億ドルは「避難民が命をつなぐための支援だ。必要な医療、食料、このサービスをしっかり提供していく」と反論した。

 政府はその後、首相官邸と外務省のホームページ上に、日本語、英語、アラビア語で「人道支援やインフラ整備などの非軍事分野での支援です」と書いたメッセージを掲載した。

 政府関係者の中には、「『イスラム国』側の勘違いも甚だしい」と言う人もいる、と報道されている。

 日本政府が軍事資金を拠出したかのような批判をする「イスラム国」側、これに対して非軍事の「人道支援」だと反論する日本政府。この対立はいったい、どこから生じたのか?

「イスラム国」側に、湯川遥菜さん(42)は昨年8月、後藤健二さん(47)は同11月以降に拘束され、1月20日に突然、「イスラム国」側が2人を人質にして身代金を要求した。安倍首相が3日前の1月17日に訪問先のエジプトで行った政策演説を待っていたかのような動きだった。

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