「軍事援助」か「人道援助」か?:「イスラム国」に付け入られた言葉

執筆者:春名幹男 2015年1月22日
エリア: 中東

 突然、インターネット上の映像に黒ずくめの姿で現れたイスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーとみられる男。安倍晋三首相に対して言い放った。

「『イスラム国』と戦うために2億ドルを支払うというばかげた決定をした」

 その2億ドル(約236億円)をわれわれに払わなければ人質の日本人2人を殺害する、というのだ。

 これに対して、安倍首相は、2億ドルは「避難民が命をつなぐための支援だ。必要な医療、食料、このサービスをしっかり提供していく」と反論した。

 政府はその後、首相官邸と外務省のホームページ上に、日本語、英語、アラビア語で「人道支援やインフラ整備などの非軍事分野での支援です」と書いたメッセージを掲載した。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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