ロシア、イラン、北朝鮮などの経済制裁違反やテロ組織への金融支援に目を光らせる米財務省の情報機関、テロ金融情報局(TFI)。そのトップで、省庁間の違法金融作業部会(IFTF)議長も務め「制裁のツァーリ」とも呼ばれたデービッド・コーエン財務次官(テロ・金融犯罪担当)がこのほど、中央情報局(CIA)副長官に就任した。財務省からCIAナンバー2への転身は初めてだ。

 他方サウジアラビアでは、アブドラ前国王の死去を受けた人事刷新で、元サウジアラビア総合情報庁長官のバンダル・ビンスルタン王子(66)が国家安全保障会議事務局長の職を解かれていたことが分かった。今後、イスラム教過激派テロ対策は、アルカイダとの戦いで名を知られた新副皇太子のムハンマド・ビン・ナエフ内相(55)が中心になって進めるとみられる。内相は政治安保問題評議会議長も務め、米国との協調体制を強調した陣容になったようだ。だが、米国とサウジアラビア両国のこの人事から何が読みとれるのか。

 サウジは、やくざ社会で言う「みかじめ料」のような形でアルカイダ系テロ組織に巨額の資金をひそかに支払ってきたと言われる。米国は果たしてこの問題にメスを入れることができるだろうか。

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