「食うか食われるかの競争が始まる」といわれているのがドラッグストア業界。昨年六月に薬事法が四十六年ぶりに改正され、「登録販売者」制度が新設される。これまで薬の販売は薬剤師だけに限られてきたが、二〇〇九年からは登録販売者も薬を販売できるようになるからだ。 周知のように、薬局が閉まった夜間でも風邪薬くらいはスーパーやコンビニエンスストアで買えるようにすべきだ、という議論が起ったことがある。それがようやく実現するのは、「厚生労働省が規制緩和の流れに沿って改正したものですが、ドラッグストア業界の政治力も効果を発揮した」(製薬業界通)ためだ。 実際、マツモトキヨシの松本南海雄社長(六四)は「八年前からの運動が実った」という。「ドラッグストア業界は慢性的な薬剤師不足です。厚労省は薬剤師の数は足りているといいますが、薬剤師の六五%が女性で、結婚し、子育てが始まると、仕事をやめ、薬剤師の免状をタンスに仕舞ってしまう。そのうえ、薬事法ではドラッグストアも薬剤師が一人いればいいはずですが、薬剤師の食事中や休みの日にも対応できるように厚労省の局長通達で三、四名の薬剤師を常駐させるよう指導されている」。結果、薬剤師の募集費用が巨額に上るうえ、給与は一般店員が月給二十五万円ほどなのに薬剤師はその倍以上なのも悩みのタネだという。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。