「腐っても三越」をファンドが狙い始めた

執筆者:杜耕次2007年5月号

大阪での“再チャレンジ”も勝算は芳しくなく、次なる再編の目玉に擬せられつつある三越。だが、狙うのは同業他社ばかりではなく――。「梅田地区には百貨店や多様な商業施設が集積していて条件は厳しいが、独自性のある店作りをしていけば、三越にも勝算はある」 四月五日、大阪市内で記者会見した三越社長の石塚邦雄(五七)は、二〇一一年春に開業予定の「大阪店」(北区梅田、大深町)の店舗戦略をこう語った。 三越が出店するのはJR西日本が大阪駅北側に建設する「新北ビル」(地下三階地上二十八階建て)の地下二階から地上十階までの部分。売り場面積約五万平方メートル、初年度五百五十億円の売上高目標を掲げ、「日本橋本店、銀座店と並ぶ旗艦店にする」と石塚は強調した。 三越は〇五年五月に、三百年以上の歴史があった旧大阪店(中央区北浜、売り場面積約一万平方メートル、〇五年二月期売上高二百三十七億円)を閉店。一度は撤退を余儀なくされた大阪に、六年の空白の後に舞い戻る。「三越復活のシンボルに」と、石塚の意気込みがひしひしと伝わってくる大型プロジェクトだ。 ところが、三越の新店の前評判は芳しくない。もともと梅田は阪急百貨店本店(売り場面積四万二千平方メートル)、阪神百貨店本店(五万四千平方メートル)、大丸梅田店(四万平方メートル)がひしめく百貨店の激戦地。加えて、三越の新店開店と同じ二〇一一年に阪急が建て替えで売り場を八万四千平方メートルに倍増させるほか、大丸も増床工事で六万四千平方メートルへと一・六倍に拡大。阪神も早ければ二〇一二年に高層化のための建て替えに着手する計画が進んでいる。

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