世界で普及が進む太陽電池。なかでも、二〇〇四年に年間の新設量(出力ベース)で日本を抜いて世界首位に立ったドイツでは、太陽電池モジュール(主要部品)を扱う企業だけで四十社を超える。これらドイツ企業は主に自国向けに生産・出荷していたが、環境ビジネスとしての中国市場に食指を動かす。 その一例がコナジー社だ。同社は自社ブランド製品を他企業に委託生産(OEM)して販売していたが、今年二月に太陽電池モジュールを自社生産すると発表。その出荷先としてアジア地域をにらみ、韓国で太陽光発電所を建設する意向だ。五月下旬には上海に事業所を新設した。 欧州諸国の太陽電池需要は伸び続けると予測されている。一方で中国の市場は年間一万キロワット以下で、ドイツ市場の一%程度。世界市場(〇五年は百七十九万キロワット)に占める割合も微々たるものだ。にもかかわらず、同社がアジアに進出するのはなぜか。 ここに、ドイツ国内の市場の変調が読み取れる。太陽電池の売れ行きが「鈍くなってきた」(業界関係者)というのだ。 ドイツ政府の普及促進策が転換点に立っている。同国は二〇〇〇年に、太陽電池が生み出す電気を電力会社に強制的に高額で買い取らせる「フィード・イン・タリフ制度」を導入した。当初の売値は一キロワットあたり約〇・五―〇・六ユーロ。これは電力会社が家庭に販売する電気料金の数倍になる。二十年の長期売電契約も結べるため、安定収入を見込む農家が牛小屋の屋根に三十キロワットほどを載せている例が多い。

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