「iPhone」が放った三つの衝撃波

執筆者:2007年10月号

アップルの野心作が世界に与える影響は大きい。パソコンから“ITの主役”の座を奪う動きが決定的に――。 八月下旬、米ニュージャージー州に住む十七歳のジョージ・ホッツ君は一躍、時の人となった。本来なら米AT&Tと通信契約を結ばなければ動かない米アップルの新型携帯電話「iPhone(アイフォン)」を、他の携帯電話の通信事業者(キャリア)のサービスでも使えるようにする「改造方法」を編み出し、詳細な手順をブログに掲載したからだ。米ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ主要メディアがこぞって取り上げ、表情にあどけなさの残るくせ毛の少年の写真が世界に配信された。 AT&TによるiPhoneの米国内での独占販売に挑む「腕自慢」はホッツ君に限らない。六月末の米国での発売直後から、同様の手順を編み出してインターネット上に公開する動きが相次いでいる。どうやら、アップルがAT&Tに認めさせた「携帯業界の常識破り」ともいえる仕組みがハッカーたちの「チャレンジ精神」を刺激したようだ。「AT&Tからの“支払い”を売り上げとして計上する計画だ」。アップルのピーター・オッペンハイマーCFO(最高財務責任者)がそう明かしたのは、四月二十五日の一―三月期決算発表の場だった。

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