久しぶりに米首都ワシントンで取材した。旧知の元政府高官に会い、国立公文書館で古文書を繙くうち、あっという間に予定の十日間が過ぎた。帰国が翌朝に迫った夜、元米中央情報局(CIA)工作員の友人のことを思い出し、自宅に電話した。「空港までマイカーで送るよ」と、土曜の朝のことなのに親切に言ってくれた。 いま何をしているのか具体的なことは一切話してくれなかったが、口ぶりから、また秘密の仕事に戻ったな、と直感した。CIAを辞めて約二十年、今度はCIAとは違う機関で外部コンサルタントをしているようだ。 ダレス国際空港でお茶を飲み、約一時間話ができた。「CIAは、いま仕事の五〇―六〇%をアウトソーシングしている。国防総省の外注はもっとだ。予算も大幅に増えている」 情報機関がアウトソーシングとは大胆だ。一体どの部分をどのように外注しているのか。 イラクでは、駐イラク米大使の警護などを請け負っている「ブラックウォーター」という警備会社の警備員が過剰な武力行使で無実のイラク市民に発砲、十七人を殺害し、大問題に発展した。米国防総省などが雇っている、いわゆる民間軍事会社(PMC)の要員は推定十八万人でイラク駐留米軍(約十六万五千人)を上回り、問題化している。

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