米西海岸サンフランシスコのダウンタウンにある米通信大手AT&Tビル六階。縦七メートル、横十四メートルの秘密の部屋に、米国家安全保障局(NSA)の「データ・マイニング(発掘)」機器が設置されている。 そんな事実がサンフランシスコ連邦高裁の裁判で暴露された、と米ワシントン・ポスト紙が伝えている。 AT&TからNSAにeメールの電文などが大量に提供されている証拠として、AT&Tの元職員が爆弾証言したという。 原告は、「エレクトロニック・フロンティア財団」という民間団体と、「アルハラマイン」というイスラム教系の慈善団体。 前者は、NSAが「テロリスト監視計画」のために必要な情報収集を逸脱し、違法なプライバシー侵害をしていると訴えた。後者は、NSAの監視を受けたのは不当と提訴した。 AT&Tも米政府側も、「秘密の部屋」の存在さえ認めていない。米政府は「国家機密」にかかわる裁判として公訴棄却を主張している。 世界最大の盗聴機関NSAが、AT&Tなどの協力を得て一般の通話などを傍受していたのはやはり事実だったのだ。 二十年前、「東芝機械事件」で東芝アメリカは情報漏れの異変に気付き、社内を調べたが盗聴器は見つからなかった。専門家に調査してもらったところ、「交換機などの領域で盗聴されている」と指摘された。米情報機関に盗聴されていたのは確実だ。

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