いま財界が値踏みする「三村明夫」の才覚

執筆者:杜耕次2007年12月号

落日一途かと思われた「鉄の盟主」が、ここにきてツキを味方にしはじめた。「次期財界総理」の呼び声は日増しに高まっているが――。 前首相の安倍晋三(五三)に続いて民主党代表の小沢一郎(六五)と政界では唐突な辞意表明が相次いだが、経済界では「次に逆ギレ辞任を言い出すのは財界総理ではないか」といった観測が飛び交っている。 昨年五月に就任した日本経団連会長の御手洗冨士夫(七二)。我田引水が目立つ言動やお膝元のキヤノンでの偽装請負発覚などで批判を浴び、さらに経団連内部でもあまりの政治音痴ぶりに「とてもついて行けない」などと漏らす事務局幹部が少なくない。 財界内外での不人気に歯止めがかからないのは、御手洗本人のキャラクターによるところが大きい。異論や反論を受け付けず、マスコミ報道にもしばしば神経を尖らせる。 例えば、道路特定財源の見直し問題で矛盾する発言をした御手洗を「二枚舌」と報道した(二〇〇六年十一月十四日付)朝日新聞に対して「広告ストップや美術展協賛のドタキャンなどで圧力をかけた」(朝日記者OB)とされる。 そんな御手洗に今、喉元深く突き刺さっているのは民主党が求めている国会への参考人招致である。キヤノンの偽装請負問題を追及するのが目的だが、衆参ともに野党劣勢の状況では現実味が乏しかった。

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