安倍晋三首相の訪米は日本をビジネスライクに売り込む旅となる。オバマ米大統領と安倍氏とはケミストリー(肌合い)が合うとは思えない。それでも台頭する中国にどう対処するか、という現実の課題は重みを増している。必要な宿題を1つ1つこなすことで、日本の存在を示していく。そんな外交手法が成果を発揮するかどうか、試されようとしている。

 

「ファクトシート」の変更

 米議会の上下両院合同会議で、日本の首相としては初めて演説の機会を得るなど、雰囲気は上々である。隣国のメディアの見立ては以下のごとくだ。韓国紙『中央日報(ネット版)』から。

 安倍首相は「日本格上げ7泊8日」を予告している。訪米期間中に日米防衛協力の指針(ガイドライン)、環太平洋経済連携協定(TPP)、過去の歴史という3つの超大型イシューをすべて持ち出す。この3つのうち「歴史問題」は29日の上下院合同演説で、「平和憲法改正」はガイドライン改定で、「対中国連合構築」はTPP交渉妥結を通じて一歩前進するという考えだ――。

 警戒感の中に羨望の眼差しが感じられる書きぶりである。「日本格上げ」などと言われても、大方の日本人にはピンとこないだろう。が、2月初めに米国務省による、東アジア諸国の概要紹介(ファクトシート)に重要な変更が加えられている。2月4日に日本、5日に韓国である。日本については、ファクトシートの最初の段落に「日米同盟はアジアにおける安全保障上の利益の礎石」であり、「共有された死活的な利益と価値に基づく」とある。

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