台湾の与党・国民党の総統候補選びが混迷に陥っている。5月16日の立候補受け付けの締め切りまでに、これまで有力な候補者と見られていた王金平・立法院長、朱立倫・党主席、呉敦義副総統などが次々と不出馬を宣言した。

 立候補受け付けには洪秀柱・立法院副院長や楊志良・元衛生署長らが応募したが、それなりに知名度がある個性派ではあるものの、いずれも「大物」とは言えない。すでに早々と出馬を確定させている民進党の蔡英文氏に勝てる候補になるとは思えず、党内からは「事実上の不戦敗」との懸念も出ている。

 今後、洪氏らは世論調査と党員投票によって選考が行われるが、国民党内のルールでは、「党の調整」にも含みが置かれており、洪氏らの支持の広がりがなければ、党が候補者を指名する可能性も残されており、今後もすんなり決まらずにずるずると引き延ばされ、ますます戦況が不利になる恐れもある。

 

切れてしまった2人の関係

 14日から16日にかけて、台湾では国民党の候補者選びで目がくらむほどの激しい動きが展開された。口火を切ったのは呉敦義氏で14日、「総統選に出ないという気持ちには変わりがない」と表明した。一時は人気の低さから目が消えたかと思われていたが、王金平氏と朱立倫氏のにらみ合いで一部に待望論が出かけていたところ、自ら火を消した。15日には、王金平氏が「皆さんの期待に応えられずに申し訳ない」と語って事実上の不出馬宣言。王金平氏は一時出馬に自信を持った時期もあったようだが、馬英九総統を含めた党内の反発を抑えきれないと判断したのか、最後の最後で「撤退」に傾いた。 

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。