「不戦敗」の声も:混迷する台湾・国民党の「総統選候補」選び

執筆者:野嶋剛 2015年5月18日
タグ: 中国 台湾
エリア: アジア

 台湾の与党・国民党の総統候補選びが混迷に陥っている。5月16日の立候補受け付けの締め切りまでに、これまで有力な候補者と見られていた王金平・立法院長、朱立倫・党主席、呉敦義副総統などが次々と不出馬を宣言した。

 立候補受け付けには洪秀柱・立法院副院長や楊志良・元衛生署長らが応募したが、それなりに知名度がある個性派ではあるものの、いずれも「大物」とは言えない。すでに早々と出馬を確定させている民進党の蔡英文氏に勝てる候補になるとは思えず、党内からは「事実上の不戦敗」との懸念も出ている。

 今後、洪氏らは世論調査と党員投票によって選考が行われるが、国民党内のルールでは、「党の調整」にも含みが置かれており、洪氏らの支持の広がりがなければ、党が候補者を指名する可能性も残されており、今後もすんなり決まらずにずるずると引き延ばされ、ますます戦況が不利になる恐れもある。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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