6月19日午後、衆院本会議で、労働者派遣法改正案に賛成し起立する安倍晋三首相(後列中央)ら (C)時事

 昨年の通常国会以来の持ち越しが続き、今回で3度目の審議となる労働者派遣法改正だが、今国会でも難航続きだった。

 まずは、いわゆる「10.1ペーパー」問題で、入り口段階から混乱が生じた。これは、厚生労働省の事務方が、「現行制度のままでは平成27年10月1日に大量解雇が生じるので、早期に法案成立させるべき」との趣旨の説明文書を作成し、国会議員に根回しして回っていたという問題(2月の衆議院予算委員会で維新の党の議員が資料配布したことから判明した)。文書の内容が正確性を欠くものだったため、作成・配布の経緯などを野党が問題にした。

 さらに、6月に入って年金機構の情報漏えい問題が発覚。同じ厚生労働委員会所管の問題だったため、民主党などは「年金問題の徹底解明が優先」と主張し、法案の行方は一気に不透明化した。

 だが、6月2週目になって、維新の党が与党寄りに方向転換。民主・維新・生活の野党3党で共同提出していた「同一労働・同一賃金法案」について自民・公明・維新で修正合意し、これと引き換えに政府案の採決容認に転じたことが契機となり、19日に衆議院通過に至った。

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