「イスラーム国」に忠誠を誓う、エジプトのシナイ半島に拠点を置いて「イスラーム国シナイ州」を名乗る集団(昨年までは「聖地エルサレムの護持者たち」を名乗っていた)が、シナイ半島北部の最西端でパレスチナのガザ地区との国境の街ラファハ沖のエジプト海軍の巡視艇にミサイル攻撃をかけ、巡視艇を炎上させた。対艦ミサイルを保有・運用しているとすれば「イスラーム国シナイ州」の軍事力が格段に増したことになるが、対戦車ミサイルを使ったという報道があり、単に器用に使っているだけかもしれない。それでもエジプト政府にとって一層手を焼く存在になっている。武装蜂起をシナイ半島に食い止めることが、スィースィー政権への国民の支持を維持する不可欠の要素だろう。自由はなくとも安定を、というのがスィースィー大統領の大統領就任の際の暗黙の「契約」である。それに対して、チュニジアとエジプトで、反体制勢力が「イスラーム国」のモデルとイメージを取り入れて、シリア・イラク・イエメン・リビア型の内戦を引き起こそうと試みている。Egypt's Islamic State affiliate claims rocket attack on naval boat, Ahram Online , Thursday 16 Jul 2015.

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