中国「株暴落」の次は「銀行破綻」か

執筆者:高村悟2015年7月27日

 上海、深圳の両株式市場の6月中旬以降の暴落は、中国政府のなりふり構わぬ株価対策で、とりあえずは収まった。だが、中国経済の先行きに対する不安感は、習近平政権の市場経済の原則を無視した強権的な対策によってかえって高まった。中国経済が1980年代以来の高成長の果てに大きな負の遺産を抱え、壁にぶつかっていることを株式市場の動揺がはっきりと示したからだ。中央政府、地方政府、国有企業の巨額負債、製造業の過剰生産能力と国際競争力の低下、そして中流層にのしかかる不動産、株式の損失、家計債務の膨張などである。中国経済は無理に無理を重ねた高成長のツケを支払う時期が到来している。

 

「心理相場」の終焉

 今回の株式市場の暴落はきわめてシンプルな構造で起きた。昨年7月ころから上海、深圳の両市場は上昇を始めたが、その半年前から不動産市場の下落が始まっていた。中国の不動産市場は、国民が自己居住用の家を求める健全な購入よりも値上がり期待の投資用が多い。しかも賃貸を中心に考える香港人のマンション投資と違って、短期保有での転売が前提のため、誰も住まない「鬼城(ゴーストタウン)」が全国各地に生まれる。そうしたゴーストタウン住宅の損失があまりに大きくなったため、投資家が損切りして資金を株式市場に移したのだ。

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