ドイツはトルコ地下鉄でのテロに警戒を勧告

執筆者:池内恵2015年7月30日

ドイツ外務省は、トルコ・イスタンブールの地下鉄で、クルド反政府武装勢力に関連するテロが生じる危険性を警告。

Germany warns of attacks on Istanbul's public transport, al-Jazeera English, 29 Jul 2015.

トルコが24日以来、イラク北部やトルコ国内のPKK拠点への軍事行動を続け、PKKのテロも激化している現状を踏まえたもの。

2013年以来のトルコ・PKK和平プロセスを、PKK側は「もはや無意味」と声明、エルドアン大統領も「テロリストとの和平交渉は不可能」と応酬、しかし法的には行政府の長であるダウトール首相は、和平交渉の継続を表明している。トルコとPKKは完全に決別したわけではないが、当面は武力の応酬が続き、双方に犠牲を出しながら「我慢比べ」をすることは確実である。

28日にブリュッセルのNATO緊急会合でトルコの軍事行動を自衛権の発動として支持した西欧諸国だが、トルコが対「イスラーム国」と対PKKで、まとめて軍事行動を行うことには懐疑的で、対PKKの作戦がテロの脅威に「見合ったものである(proportional)」ことを求める声が出ている。ちなみに、この言葉はイスラエルのパレスチナ武装組織への軍事行動に対しても西欧諸国が使う言葉で、重要な同盟国の軍事行動を原則としては認めざるを得ないが、一定の距離を置くときに用いられることが多い。

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