ターリバーンのオマル師の死亡が発覚し、7月30日にはターリバーン指導部がマンスール師を新たな指導者に選出したと発表したが、選出手続きに疑義も出て、不透明感が出ている。

Taliban leaders dispute appointment of Mullah Mansoor, al-Jazeera English, 31 July 2015.

「アミール・ムウミニーン(信徒の統率者)」を選出するには、イスラーム法上は、選出権者(「解き、結ぶ人」と呼ばれる)が集まって話し合い(シューラー)を行ってアミール・ムウミニーンを選出し、まず選出権者たちが「忠誠の誓い」を行い、それに続いて一般ムスリムが「忠誠の誓い」を行うという手順が規定されている。(日本語でも代表的な法学書が読める。マーワルディー『統治の諸規則』慶應義塾大学出版会)

ターリバーンの場合は、シューラー評議会がこの選出権者となるはずだが、このシューラー評議会の全員に諮らず、マンスール師の周囲の4・5人の司令官のみで後継者を決めてしまったことに疑義が出ているという。

ただし、シューラー評議会の実効性も曖昧である。すでに2年前のオマル師の死以来、実質的にマンスール師とその周囲の司令官たちがターリバーンを指導していたのであれば、今回の後継者決定は現実を追認しただけなのかもしれない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。