米国はシリア空爆の目的を拡大して、トルコが提唱するシリア北部の安全地帯へのアサド政権の攻撃を阻止するためにも空軍力を用いる方針に転じたと報じられている。匿名の米高官の発言を、ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターが伝えている。

U.S. to defend Syrian rebels with airpower, including from Assad, Reuters, August 3, 2015.

U.S. to Defend New Syria Force From Assad Regime, The Wall Street Journal, August 2, 2015.

米国は昨年9月にシリア空爆を開始したが、対象は「イスラーム国」限定だった。そのため、トルコは「根本原因であるアサド政権の打倒につながらない」として参加を渋る理由にしていた。先月22日前後の、トルコのインジルリク空軍基地の利用をめぐる米・トルコ交渉の結果、「安全地帯」の範囲内では米国が空軍力を用いてアサド政権の空爆を阻止する方向で一部譲歩をしたのかもしれない。

実際、アサド政権の市街地空爆は凄まじく、民間人への莫大な被害が連日伝わってくる。「樽爆弾」などを多用したアサド政権の空爆に、なぜ世界の反戦派のデモが起こらないのか不思議である。

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