戦後70年首相談話に期待する

執筆者:平野克己2015年8月10日

 安保法制、集団的自衛権をめぐる議論が飛び交っている。軍事も安全保障も法律も専門外の私は黙ってみているのだが、ただ母校である早稲田大学が「安全保障関連法案の廃案を求める早稲田大学有志の会」発として、「安倍政権による憲法無視・国民無視の暴走に抗議し、安全保障関連法案の廃案を求めます」という声明を出したので、フェースブックの片隅に「付和雷同」とだけ書いた。

 早稲田大学の長谷部恭男教授が衆議院憲法審査会で「安保法制は憲法違反」との見解を述べたことが世論に強く影響を与えたようだから、他学よりも早稲田のなかは熱しているのかもしれないが、声明に名を連ねておられるさまざまな分野の研究者は、「学の独立」にふさわしい信条を揺るぎなくされているのだろうか。早稲田大学の声明には「日本を戦争する国に変えようとしている」と書かれてあるのだが、今の日本に武力をもって出ていく対象と狂気があるだろうか。自衛権の在り方をめぐる議論をそのように解釈するのが、彼らがいう「学の独立」なのか。私は、60年安保闘争は間違いだったと考えている。あの運動が安保条約改正の中身と意味を十分理解して展開されたものとは、到底思えないからである。同じ誤りは繰り返したくないものだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。