11月の再選挙の公算が高まってきたトルコだが、6月7日の総選挙で単独過半数を失った与党AKPの支持率が上昇していることもその背景にある。トルコの世論調査会社MAKが8月4−8日にかけて行った調査によれば、今再選挙を行えば単独過半数を取り戻しそうな勢いだという。先週のSONAR社の調査でも同様の結果が出ていたという。

Another poll suggests Turkey's AK Party could regain overall majority, Reuters, August 10, 2015.

トルコ・エルドアン政権は7月20日の南東部スルチュでのクルド支援団体に対する自爆テロ以来、対PKK及び対「イスラーム国」で大きく姿勢を転じた。それによって、シリアをめぐる中東情勢全体の局面を大きく変えようとしている。それによって、クルド反政府勢力クルド労働者党(PKK)との和平プロセスは停止し、武装闘争に逆戻りしている。

エルドアン大統領が、対PKKの紛争を国内政治に利用し、6月の選挙で躍進してAKPの単独過半数割れの最大の原因となったクルド系政党HDPを追い詰め、再選挙で10%の足切りラインを割らせて議会外に追い出し、単独過半数を取り戻す狙いがあるという分析が、様々な専門家によって語られてきた。事態はその方向に進み始めている。ただし総選挙までにPKKをめぐっても、シリア北部の「イスラーム国」をめぐっても、何が起こるか分からず、エルドアンの狙い通りに展開するかどうか分からない。さらなる予想外の展開を覚悟しておかねばならないようだ。

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