シリアをめぐる地域大国・域外大国間の交渉が水面下で進む
2015年8月14日
トルコの内政の展開は、シリアをめぐる外交の変化との関連で重要性を持つ。
シリア内戦の今後を方向づける諸要因の中で、トルコの姿勢は、決定的とまでは言えないが、最重要の要素の一つである。
トルコは7月後半に、南部インジルリク空軍基地の対シリア「イスラーム国」空爆への使用を米国に許可するカードを切った。それに対して米国からは、シリア北部にトルコの影響圏を作るにも似た「安全地帯」を設けることを了承されたと、トルコ側は主張している。
しかし米国とトルコの間には公然と思惑の違いがある。
米国はシリア北部で伸張するクルド系組織PYDとその武装部門YPGを対「イスラーム国」の主要な同盟者として支援している。それに対してトルコはPYD-YPGをトルコの反政府武装組織PKKと一体とみなして敵視しており、米・トルコ間には齟齬がある。しかし両者は互いに不可欠の協力関係にある。
8月12日にはインジルリク空軍基地を利用した最初の米軍の対「イスラーム国」空爆が行われた模様である(米国防総省報道官の発表)。
これに対して、トルコ外務省の匿名高官は、米との間で「PYDはユーフラテス河を越えない」ことで合意したとリークしている。
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