イエメン首都決戦が迫る 分裂深まるか

執筆者:池内恵2015年8月20日

サウジ・UAE主導の連合軍が、亡命したハーディー大統領と政権の復帰を目指して、イエメンの地元親サウジ・新ハーディー政権勢力を支援して、最北部を拠点とし一時は南部まで全土を支配下に置いたフーシー派とサーレハ前大統領派から、国土を奪還する作戦を進めている。

7月から8月初頭にかけて南部の中心都市・最重要港湾のアデンとその後背地を奪還したサウジ連合軍は、南部の主要都市を制圧しながら、北部の首都サヌアの行く手にある要衝に順次攻勢をかけて陥落させている。

最近の動きは次のようなものだ。

8月15日 シャブワ(南部、アデンの東方)を制圧 

8月16日 タイッズ(南部、アデンの北西方)中心部を制圧

8月18日 紅海岸の要衝ホデイダの港湾を空爆

首都サヌアを占拠したフーシー(フースィー)派及びそれと連合したサーレハ前大統領派が北部や首都周辺部の拠点に撤退すればいいが、そうでなければ首都で市街戦が行われることになる。

「サヌア無血開城」を談判する指導者が出て来ればいいのだが。

首都決戦になれば、戦闘で親サウジ勢力が勝ったとしても、国家・国民社会の分裂が深まるのではないかと不安視されている。

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