『シャルリー・エブド』編集部を襲撃したクアシ兄弟が行方をくらませたまま、1月7日は暮れた。翌8日から兄弟と連携して動き出したのが、アメディ・クリバリだった。

 クリバリが引き起こした一連の事件には、前座のような出来事がある。7日夜8時半頃、パリ南郊フォントネ=オー=ローズで男性が銃で撃たれ重傷を負った一件である。『シャルリー』事件が起きてフランス中が騒然としていた時だけにほとんど注目されなかったが、後にクリバリが起こした可能性が指摘された。

 この男性は32歳で、住宅街の緑道で日課のジョギングをしていた際に出くわした男から、肩と背中、脚の3カ所を拳銃でいきなり撃たれた。男性は何とか近くの住宅にたどり着いて助けを求めた。男性は当初意識があり、容疑者について「欧州系か北アフリカ系だった」と語った後、昏睡状態に陥った。

 クリバリの自宅は現場から数百メートルしか離れていない。ただ、捜査は当初、男性の証言から対象を白人に絞った。黒人のクリバリは対象外と見なされた。『パリジャン』紙は状況と容疑者の風貌から、クアシ兄弟とクリバリに続く「第4の男」(クリバリの妻アヤト・ブメディエンヌと一緒に「イスラム国」に逃亡したアルジェリア系のベルシヌ兄弟らのことか)がこの出来事にかかわった可能性を示唆した。クリバリ周辺の他の人物によるものだと推測したメディアもある。

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