PKKは秘密裏に米国に対トルコ仲介を求める

執筆者:池内恵2015年8月22日

こんな記事が出ていた。

PKK urges US to mediate in its war with Turkey and admits to secret talks with Washington, The Telegraph, 17 August, 2015.

トルコのクルド反政府組織PKKは、米国と仲介者(おそらくシリアのクルド組織・民主連合党=PYD)を通じて間接的に対話しており、米国の仲介の下でならトルコと和平していいという。

オジャラン党首がトルコで収監されているため、3名の暫定指導部が統率しているのだが、その一人ジェミル・バイクCemil Bayikが、イラク北東部の山岳地帯と見られる秘密基地に英デイリー・テレグラフの記者を招いて会見。

トルコとPKKの紛争は、対「イスラーム国」に現地諸勢力を結集させたい米国にとって障害。また、トルコもPKKも本当のところではこれ以上紛争を激化させたくない。誰も得をしないし、「イスラーム国」をいずれも脅威としている。

表向きはPKKはNATO加盟国であるトルコに対する「テロリスト」なので米国も西欧諸国もPKKと対話せずの姿勢でいるが、シリア北部やイラク北部での対欧米連合勢力としての価値を日に日に高めつつあり、米国は本音では仲介して和平プロセスを再開させたいだろう。しかし米国が口を出せば、トルコのエルドアン大統領は米国の裏切りと受け止めるだろう。

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