株価急落は「経済最優先」に戻す好機

執筆者:磯山友幸2015年8月26日

 世界同時株安の様相である。8月17日終値で2万620円を付けていた日経平均株価は25日終値で1万7806円と、1週間で2800円あまりも下げた。中国・上海株市場の急落が引き金には違いないが、急ピッチで上げ過ぎた米国株の反動や、強気が横溢し始めた日本株の調整などが重なった。今年、1万7325円で始まった日経平均株価は、6月24日に2万952円の年初来高値まで3600円余り上昇したが、その上昇分の7分の6が吹き飛んだ格好だ。

「幸運続きだった安倍首相は、運にも見放されたんじゃないか」

 アベノミクスを見守り続けているエコノミストの1人は語る。4~6月の実質国内総生産(GDP)が前の期の1~3月に比べてマイナスとなり、改めて国内消費の弱さに注目が集まった。マイナスは一過性に過ぎないという見方が多数だが、アベノミクス景気が腰折れし始めたのではないかという声もある。そこへ株価の急落が重なったのだ。

 一方、これまで得点を稼いできた「外交」も芳しくない。戦後70周年談話は波風を立てずに乗り切ったものの、得点を稼げるかと思われてきたロシアとの関係改善は進んでいない。日米でようやく合意しかけたTPP(環太平洋経済連携協定)も、ニュージーランドの反対などによって暗礁に乗り上げた。

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