排ガス規制にまつわる不正問題で注目されるフォルクスワーゲン(VW)。その現地子会社であるVW・インディアは2014年度、前年度比倍増するなど好調だった輸出に後押しされ、インドでの生産台数は同28%増の約11万台と、2ケタの大台に乗せていた。さらに2015年度も好調を維持し、4~6月期の国内販売は前年同期比34%増の約1万1800台に達した。勢いに乗る同社はインドで毎年50~60店のディーラーを新規開設する計画だ。また「ポロ」や「ジェッタ」などを生産している西部プネー郊外・チャカン工場に追加投資し、生産能力を現在の年13万台から、2018年までに同20万台に拡張する方針を表明するなど、インド市場で本格的な攻勢に出ている。そんな矢先の報道だっただけに、インドでも少なからず波紋が起きている。

 実はVWといえば、インドでは10年前に苦い経験がある。インド初進出だった南部アンドラプラデシュ州への新工場建設を巡って、同社と州の産業相との間に贈収賄疑惑が出来したのだ(2005年9月「インドで不正発覚独フォルクスワーゲンはアジア事業も多難」参照)。

 その後VW側は役員が辞任し、州大臣も更迭され、印独両国で一大スキャンダルに発展。結局、計画は頓挫し、VWのインド進出は2年以上も遅れるなど大きな影響を受けることになった。

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