ロシアのシリア軍事介入に関しては、米国や欧州の外交・安全保障の論客たちの間には、(1)欧米の政府の公式見解・原則論のように、アサド政権の支援をめぐって異議を申し立てる議論と、(2)むしろ積極的にロシアの解決策に協調する政策転換を主張する議論があるが、ロシアの軍事介入が現実化し、米国との立場の相違も埋まらない中で、ちらほら見られるようになったのが(3)ロシアが介入したければ介入させておけばいい、米国の策もうまくいっていないが、ロシアのやり方もどうせうまくいかないから、というタイプの議論である。

例えば下記の論考がそのような立場を取っている。

Daniel W. Drezner, “Vladimir Putin wants Russia to have more influence in the Middle East. Good luck with that,” Washington Post, September 29, 2015.

このような論理展開を採用するかか否かに関わらず、米国オバマ政権の姿勢は、表向きの発言はともかく、ロシアの行動を止めるための策を打つことはないだろう

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