ロシアのシリア空爆が2日目に入っている。初日はラタキア付近やホムス近郊タルビーサの自由シリア軍系の勢力範囲を、2日目はイドリブの「アフラール・シャーム(シリア自由派)」の勢力範囲を攻撃するなど、安定して「イスラーム国」以外の反アサド勢力を狙っている。

もっともロシアとアサド政権は、政権に敵対する勢力を全て「テロリスト」と定義しているので、テロリスト掃討作戦だという主張に間違いはない、と主張するのだろう。

米国は少しでも「アル=カーイダ」に関わった勢力は全てテロリストと認定しがちなので、どっちもどっちと言えないこともあるが、しかし程度の差は激しい。ロシアの場合、言説はあくまでも米国の揚げ足取りをして反米世論を引きつけるためのものとして独自に発せられ、他方で全く別の論理から軍事行動が行われる。軍事行動の論理は、同盟勢力であるアサド政権の敵対勢力を攻撃する、という分かりやすいものである。

共和党のマケイン上院議員をはじめとした、アメリカの超大国としてのプレゼンスを志向する論者は、ロシアのシリアでの攻勢に手をこまねいていたオバマ政権を批判する。現地の同盟勢力を見捨てるのか、という議論には一つの筋が通っているが、米国が主導してシリア問題に深入りすることがふさわしいのか、可能なのかについては依然として名案がない。

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